労働組合に入っていろんな「ことば」が飛び交うけど・・・

組合の用語いろいろ

ILO
〔英:International Labour Organisation〕国際労働機関の略称で、その目的は、@国際的に労働者 の労働条件を改善して社会正義を確立し、世界平和に貢献すること、A労働者の生活向上、完全雇用、労使協調、社会保障の実現等を助長促進することの2点です。

育児休業に関する法律
長く働き続けるための条件づくりの1つとしてつくられた育児期の休業制度で、1992年4月から施行され、2002年4月から休業期間が延長となりました。内容は@3歳未満の子をもつ男女労働者が対象、A育休取得を理由とする解雇の禁止、B勤務時間を一定程度短縮する措置などです。公務員の場合、国家公務員、国会職員、地方公務員それぞれの法律が制定され、地方公務員は、自治体ごとに条例化されています。
cf)育児・介護休業法
少子化、高齢化が進む中で、育児や介護と仕事を両立させることが課題になっています。育児や家族の介護をする労働者に法律の側面からも支援が必要です。そのため、1995年6月に「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の改正が行われました。
この法律は、育児や介護を行う労働者の仕事と家庭の両立を支援することを目的とした総合的な内容であり、すべての事業所の、男女を問わず適用されます。1999年4月には介護休業制度が発足しました。

一時金闘争
夏季・年末の一時金(ボーナス)引き上げを中心に取り組む時期とたたかい。

可処分所得
金額で示される名目賃金から税金や社会保険料などを差し引いて、実際に手元に残る所得のこと。

基本給
基準内給与とも言います。賃金体系の内での中核となる部分で、公務員の場合は、本棒、扶養手当、調整手当から成り、一時金の算定基礎となるものです。

勤勉手当
勤務日数や、勤務評定により増減して支給される手当(皆勤手当等も)のこと。しかし、病休、看護休暇などにより減額されるなど問題点もあります。

原水爆禁止世界大会
核戦争阻止、核兵器廃絶、被爆者援護・連帯という被爆国民の要求を目標にかかげ、一致点で、思想・信条・政治的立場のちがいを乗り越えて広範に団結する国際的共同の場として毎年夏に開かれています。
1945年8月、一瞬にして二つの都市を壊滅させた広島・長崎への原爆投下から、2005年で60年を迎えました。核兵器廃絶を求める世界の声となってひろがっていますが、いまなお何万発もの核兵器が、人類の生存をおびやかしています。とりわけイラク戦争をひきおこしたアメリカが戦争と核兵器使用をくわだてていることは、世界に大きな不安を与えています。
 2000年5月、核保有国は核兵器廃絶の「明確な約束」に合意しました。核戦争の危険をとりのぞくためにも、新たな核保有の動きをやめさせるためにも、その約束をただちに実行すべきとの考えから、京法労も運動に参加する原水爆禁止日本協議会では、国連憲章の平和の原則がまもられ、核兵器も戦争もない平和な世界への転機とするため、「核保有国政府は、核兵器の使用と威嚇(いかく)、開発をおこなわず、ただちに核兵器廃絶の実行にふみだすこと」「すべての国の政府は、核兵器廃絶国際協定の実現のために行動すること」を求めて被爆60周年国際署名に取り組んでいます。
署名運動と同時に、京法労では毎年の世界大会への代表者派遣などに取り組んでいます。

改正労働基準法(→労基法項目を参照)

改正男女雇用機会均等法 (→男女雇用機会均等法項目を参照)

最低賃金(最賃)
最低賃金制のこと。賃金(給与)の最低限度額を、国が法律に基づいて定めます。しかし、日本では全国一律の最低賃金制度がなく、各都道府県ごとに最低賃金額(日額、時間額)が決められており、最低額以下の日額・時間額は違法となります。使用者(会社)が支払う賃金は、これを下回ってはならず、組合側、公益側を代表する人で話し合い、地域別、産業別に決められます。

裁量労働制
裁量労働制とは、仕事の仕方が労働者の裁量にゆだねられる業務について、労働時間の計算を実際かかった時間ではなく、みなし時間によって行うことを認める制度です。労働を、時間ではなく成果ではかるため、仕事をいつ行うか、いかにして行うかを労働者本人が自由に決められます。
研究やデザインといった専門的な業務については、従来から、労使協定によりみなし時間制を導入するところがありましたが、2000年から、会社の中枢(本社など)における企画・立案・調査・分析業務に対しても裁量労働制が適用できるようになりました。
 それに従い、ホワイトカラー労働者が、労働時間規制からはずれ、「ただ働きの長時間労働」をさせられる危険性があります。濫用を防ぐために、従来の労使協定方式ではなく、労使委員会による決議が必要、労働者本人の同意なしには裁量労働制はとれないなどの配慮がされています。
また、裁量労働制であっても、休日労働の規制や深夜労働の割増がなくなるわけではありません。

36(さぶろく)協定
会社が社員に、法定労働時間(1日8時間、1週40時間、週1回の休日の原則)外の残業や休日出勤をさせる必要がある場合は、事前に労働組合(または労働者の過半数を代表する者)と会社が話し合いを行い、「残業や休日出勤を行うことを合意した」と労働基準監督署に届出しなくてはなりません。
労働基準法第36条にもとづいて会社と組合が話し合うことを「36(さぶろく)協議」といい、労使間で確認し交わした書面を「36(さぶろく)協定」といいます。「36協定」を結び、労働基準監督署に届け、許可をもらいはじめて会社は社員に残業や休日出勤をさせることが適法となります。
36協定以外の理由で残業させたり、時間外労働なのに割増金が払われなかった場合には、会社は罰せられます。
ただ、この規定には延長することができる時間の上限がなく、日本の長時間労働の一因になってしまったのは皮肉な結果である。そのため、1983年以降、行政指導で延長することができる時間の規制が加えられています。

産別
産別(産業別労働組合)とは、同じ産業で働く労働者でつくる労働組合です。企業の枠をこえ、横断的に団結することで、産業自体、また全国規模で労働条件の水準を引き上げることができます。そのことによって、個別企業内の労働条件も改善されていきます。
産別は、産業内で働く人の労働条件に影響力をもつとともに、産業政策を立て、その政策を実現するための運動もするので、政治的な力も持っています。

シュプレヒコール
元の意味は、古代ギリシア劇の合唱に模して音楽合唱の形式でする科白の合唱・朗読のこと。転じて、デモの時などで一斉にスローガンを合唱する意味になりました。

春闘
日本で労働組合が毎年春に合わせ、賃金要求を中心に可能な限り交渉時期、戦術を統一し全国的に取り組む独自の闘争のこと。1955年、当時のナショナルセンター日本労働組合総評議会(総評)の下で始まりました。70年代前半国民的課題と結び、30%の賃上げを獲得しましたが、75年以降は財界の巻き返しと一部組合のストなし一発妥結で低額回答を余儀なくされ現在に至っています。90年後半から「春闘破壊」といわれるようになり、財界と一部組合(連合加入の大企業労組など)が春闘を放棄し始めている実態があります。

時短
労働時間を短縮することです。日本では労働基準法が改正され、週40時間労働制へと段階的に時短が進められています。多くの大企業では週休2日制が普及し、「ゆとりある労働」が時代の流れとなってきています。
しかし、先進国と較べると、日本人の労働時間はまだまだ圧倒的に長いのが現状です。パートを除くと、1人平均の実労働時間は年2000時間を超えています。これはドイツより約400時間、フランスより約300時間も長くなっています(2000年データより)。
残業を減らし、フレックスタイム制・裁量労働制等の弾力的な働き方を吟味し、長期休暇や連続休暇の普及を促進し、年休の取得を促進するなど、時短に向けてできることはまだまだあります。
フランスではひと足先に「週35時間制」の定着にむけて数々の試みがなされています。

生休
通常いわれる生理休暇の略のこと。労基法では、「生理日の就業が著しく困難な女子又は生理に有害な業務に従事する女子に対し生理休暇」が定められています。

ストライキ
組合の仲間が団結し、働くことを拒否する行為のこと。ただし、交渉での話し合いによる解決が第一。ストライキは最終的な手段です。
憲法第28条では「勤労者の団結・団体交渉・団体行動(争議権)」するいわゆる労働三権が保障されています。労使の利害の対立が団体交渉などによって調整されない場合、労働者はギリギリの手段として団体行動権(争議権)を行使し問題の解決を図るため労働の提供を労働者の共同行為として停止します。このことを通常ストライキと呼んでいます。

政治闘争
賃金・労働条件や生活環境の問題、税制や福祉・保健・医療、年金などの政策・制度のあり方など、労使関係や労働組合の力のみをもって解決できない政治的課題が多数存在します。そこで私たちの主張を理解し、これを代表する議員をつくることがどうしても必要になってくるため、選挙へ支援や政策討論などを議員や政党と行うことになりますが、これらの取り組みを一口に表現することです。

人事院勧告
人事院とは、国家公務員法にもとづき、内閣の所轄のもとにおかれる中央人事行政機関で、内閣からの独立性を保障されている機関です。
人事院勧告とは、国家公務員の給与、勤務時間、その他の勤務条件の改善などに関し、人事院が国会と内閣にたいしておこなう勧告のことです。
中でも、もっとも重要な意義をもつのが給与(賃金)勧告です。民間企業では春季生活闘争などで賃金アップの労使交渉をしますが、公務員は憲法で保障された労働基本権(争議権や団体交渉権など)が制約されています。その代わりに、人事院が公務員の給与の改定について国会と内閣に対し勧告します。公務員にとってほとんど唯一の給与改定の機会です。
人事院は、公務員の給与が民間企業との適正なバランスを保つことを基本とし、仕事の種類、役職段階、学歴、年齢などが同じ条件にある者同士の給与を比較し、勧告をすることになっています。

団体交渉
賃金、労働時間、休日などの労働条件や、労働者の利益につながるあらゆる問題について、労働組合が労働者を代表して、会社と交渉し、話し合いの結果を協定として結ぶことです。
団体交渉は労働組合の主要な役割で、労働組合法で保障された権利です。正当な理由がない限り、会社が団体交渉を拒むことは不当労働行為として禁止されています。

単組
単組(単位労働組合)とは、組合員が個人で加入する形式をとる単独の組合のことです。企業別労働組合もこれに含まれます。

単産
同じ産業(機械・金属、運輸・輸送、印刷・出版、公務員、流通、教職員、医療・福祉など)に関する労働条件や社会的役割などを共通基礎として、組織・運営されています。日本では、基礎のなる「単組」の連合体をなして組織されています。産別と同義語で、産業別労働組合とも言います。

男女雇用機会均等法(雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律)
憲法14条が保障する法の下の男女平等を雇用の分野で具体化する法律で、女性労働者が性別により差別されることなく、かつ、母性を尊重されつつ充実した職業生活を営むことができるようにすることを基本理念として掲げています。
1985年5月成立の男女雇用機会均等法は、女子差別撤廃条約批准にむけて制定されたものであり、1997年の改正(1999年4月施行)によってはじめて、雇用の場における男女平等を確保する法律としてスタートしたといわれています。改正前と対照してしばしば「改正均等法」とよばれています。
cf)改正男女雇用機会均等法
1986年に施行された男女雇用機会均等法には、雇用の均等を実現する上でいくつかの問題点が出てきました。そこで、1999年4月1日、改正・男女雇用機会均等法(以下、改正均等法と略)が施行されました。
大きく変わった点は、働く女性が「女性である」ことを理由に差別されず、能力を十分に発揮できる環境を整備することを目的としている点です。
たとえば、職場のセクハラ問題は事業主にも責任が求められることや、女性の時間外・深夜業務、休日労働、保護規定の撤廃、母性保護に関する措置の充実などです。
また以前は「募集・採用」「配置・昇進」で差別をしないよう企業に「努力」することを求めていましたのが、改正均等法では「禁止」としたことなどがあります。
しかしこの法律は、機会の均等を保障していても違反した場合処罰されることはなく、結果の平等という視点からみると不十分なものといえるでしょう。

デモ
その時々の要求を掲げ、大人数で隊列を組み街頭を行進して世論にアピールする行動。日本国憲法21条表現の自由の一形態で、デモンストレーションの略のこと。

定昇
 「定期昇給」の略。毎年一定の時期に昇給することであり、この制度を定期昇給制度と言います。

ナショナルセンター
さまざまな産業別労働組合などが全国的に結集してある労働組合の連合体のこと。
単産では担えない労働組合の諸活動を全国的、全産業別的に統一し、調節する機能と役割を担っています。日本には、1989年以降「全国労働組合総連合(全労連)」と「日本労働組合総連合会(連合)」の2つのナショナルセンターがあり、全労連では「地方労連」も単産と対等平等の立場で加盟要件としているのが特徴です。

不当労働行為
使用者が労働者の団結権、団体交渉権、団体行動権の労働三権を侵害する行為を言います。日本の不当労働行為制度は、憲法第28条の労働基本権保障を具体化したもので、労働者の団結権の積極的な保護措置として定められました。労組法が不当労働行為とするのは、(1)組合活動への参加を理由とする一切の不利益待遇、(2)組合加入をさまたげる行為、(3)団体交渉の拒否、(4)組合結成、運営に支配介入すること、等々です。労働組合(または労働者)から不当労働行為の救済申立があったとき、労働委員会は審査をし、使用者側にその事実が認められたときには救済命令を発します。そして、労働者を不当労働行為がなかった状態にもどさせ、使用者に対し、謝罪及びこれを繰り返させない旨誓約を公示させます。

ベースアップ(ベア)
ベースアップの略語がベアです。ベースアップとは、社員の給料を、物価上昇や労働組合の交渉などにより一斉に底上げすることです。ベアは、毎年4月1日など決まった日に、定期昇給と同時に行われることが多いため、定期昇給と区別がつきにくくなっています。勤続年数に応じ自動的に上がるように決められているのが定期昇給です。
高度経済成長時代は、経済や企業が成長して豊かになった反映として賃金の水準が引き上げられてきました。これまでは、ベアが春闘の最大の焦点でしたが、右肩上がりの成長が終わり、賃上げが難しくなる中でベアの獲得は厳しさを増しています。そのため、春季生活闘争の焦点もベアからほかの労働条件の協議に移ってきています。
公務員においては、人事院勧告(人事委員会勧告)に基づいて行われます。

変形労働時間制
変形労働時間制は、季節や週によって忙しさにばらつきがあるような職場で、忙しい時期に長時間働いて、そうでないときに多く休めるようにできる制度です。「1か月変形制」「1年変形制」「1週間変形制」の3つがあります。
期間を定め、その期間内の平均労働時間が週40時間以内(週法定労働時間)におさまれば、あらかじめ決めたある特定の週に40時間を超えて働くことを可能とします。「ある特定の週」というのは、あらかじめ労使協定や就業規則などで、各週、各日の労働時間の長さを特定することが必要です。
なお、この労使協定は、労働基準監督署長に届出しなくてはなりません。18歳未満の年少者や妊産婦、育児・介護をする者には除外や充分な配慮をすることが、規定で求められています。

メーデー
毎年の5月1日、全世界の労働者が、団体の力と国際連帯の意思を示す統一行動日のこと。
1886年5月1日、アメリカ・シカゴで8時間労働制を要求するゼネストを記念し、1889年、第2インターナショナル創立大会で、毎年5月1日を8時間労働制などを要求する「国際労働示威の日」とすることを決定しました。
第1回メーデーは1890年で、その後今日まで続いています。日本では、1920年、第1回メーデーが東京・上野公園で5000人の参加をもって開催され、第二次世界大戦をへて、1946年、17回メーデーから復活しました。社会の安定化にともない「労働者の祭典」の色彩が強くなっています。

みなし労働時間
「事業場外労働に関するみなし労働時間制」と「裁量労働に関するみなし労働時間制」の2種類があります。後者については、「裁量労働制」を参照してください。
「事業場外労働に関するみなし労働時間制」とは、報道記者の取材や外勤の営業など、会社の外で行われる勤務について、あらかじめ会社と労働者との間で、この仕事にはこれくらいの時間がかかるということを取り決めて、業務量から労働時間をはかろうという趣旨のものです。実際の勤務時間が所定労働時間より長くても短くても、所定労働時間勤務したとします。
導入方法は、労使協定を締結し提出します。三六協定の届出様式に、みなし労働時間を付記して届け出ることもできます。また労使協定で定める時間が法定労働時間以下の場合には届出の必要はありません。

有給休暇
休んでも賃金をカットされないので有給休暇と言います。
通常の賃金(時間外手当、臨時給与を除く)が支払われる休暇で、労働者の権利として、事由によらず何時でも請求できます(「事業の正常な運用を妨げる場合」については、使用者に時季変更権がありますが、年休の請求そのものを否定することはできません)。
労働基準法により次の最低基準が定められています。
@ 年休権の発生:6ヶ月以上勤務し労働日の8割以上出勤した労働者が取得できます。
A 最低付与基準:勤続要件と勤務形態に応じて次の通り(年間の新規付与日数)。
B 計画取得:付与日数のうち年5日を越える部分について、労使協定に基づく計画取得が法で認
められています。
C 年休権の有効期間:新規付与毎に2年間。法定はされていませんが、使用目的等を定めて、失効
 年休を積み立てて年休として使えるようにする制度もあります。
D 使用者は年休取得を理由とする不利益取り扱いをしてはなりません。

勤 続 年 数

6ヵ月

1年
6ヵ月

2年
6ヵ月

3年
6ヵ月

4年
6ヵ月

5年
6ヵ月

6年
6ヵ月

     週所定労働時間が30時間以上

10

11

12

14

16

18

20

週所定労働時間が30時間未満で週所定労働日数が

4日

または

年所定労働日数が

169〜216日

7

8

9

10

12

13

15

3日

121〜168日

5

6

6

8

9

10

11

2日

73〜120日

3

4

4

5

6

6

7

1日

48〜72日

1

2

2

2

3

3

3

労働権
労働能力と労働意欲をもっている者が、労働する機会を社会的に要求しうる権利のこと。憲法第27条1項は、「すべての国民は、勤労の権利を有し、義務を負う」と定め、勤労権(労働権)を保障しています。しかし、現実には、それを具体的に保障する法的措置はありません。

労働基本権
憲法28条「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する」を労働基本権と言い、「団結権」「団体交渉権」「争議権」の三つに区分されます。

労働三権
憲法第28条で保護されている、働く者の権利。「団結権は」労働者が団結する権利のこと。「団体交渉権」は労働条件を改善するために、労働組合の代表者が会社側と交渉できる権利で、正当な理由がない限り、会社側が交渉を拒否することはできません。「団体行動権」はストライキなどの争議行為をする権利です。

労働三法
@組合の活動を保障するため、労働三権を詳しく法律として定めたのが「労働組合法」。A賃金や労働時間等、労働条件の最低保障となる「労働基準法」。B主に公益事業の労使関係の公正な調整をはかり、労働争議を予防し、または解決するための「労働関係調整法」をあわせて、労働三法といいます。

労働組合法
労働基準法、労働関係調整法と並ぶ労働三法の1つです。労働者が使用者との交渉で対等になるよう労働者の地位を向上させるのが目的で、憲法で保障されている労働者の団結権、団体交渉権、争議権を具体化しており、労組の法的保護を定めています。

労働基準法
略称を労基法と言います。労働者の人間としての生存権を保障することを原則とし、戦後の民主化政策にもとづいて1974年に制定されました。労基法制定の本旨は、@労働条件に一定の最適基準を設けて、それ以下への低下を防ぐ、A労働関係に残存する封建的慣行の除去、B職場生活以外への使用者の支配、介入の排除、の3点からなっています。
cf)改正労働基準法
  経済の変化や、労働者の仕事に対する意識の変化を受け、労働基準法の一部を大きく改正した法律です。
  1998年10年9月30日に施行されました。その目標とするところは以下の3点です。
 1)経済社会の変化に対応した主体的な働き方のルールづくり
 2)職業生活と家庭生活との調和、労働時間短縮のための環境づくり
 3)労働契約の複雑化、個別化に対応したルールづくり
  具体的には、変形労働制や新たな裁量労働制の導入、女性保護規定の一部廃止など、労働者の働くスタイルに大きな影響を与える項目があります。

労働協約
 団体交渉などで、労働組合と会社が労働条件や組合活動について合意し、その内容を文書でとりかわし、署名または記名押印したものです。
 労働協約は、労働契約や就業規則より強い力を持ち、優先されます。
 これは一種の平和協定なので、労働協約の有効期間中に、その協約に定められた事項の変更を要求して争議行為を行うことはできません。有効期間は3年以内と決まっています。

労働委員会
 労使紛争を仲裁、審査する独立行政委員会で、労働組合法に基づき45年に設置されました。労組所属を理由にした解雇や賃金カット、昇進差別などの不当労働行為が審査の対象です。各都道府県にある地労委に申し立て、その決定に不服の場合、労使双方が中労委に再審査を申し立てることができます。労使の代表者と中立的立場の公益の3者で構成され、委員の数は同数。不当労働行為が認められれば、公益委員は救済命令を出します(京都では地労委)。
 命令が不服の場合、裁判所に取り消し訴訟を起こすことができるため「5審制」と言われています。

労働安全衛生法
労働災害、職業病の増加に対応し、労働基準法の「安全・衛生」の部分を、独立拡充して災害防止対策を強化するため、1972年4月に制定されました。88年には中小企業、高齢者についての災害発生率の高さ、ストレスによる職場不適応などに対処する改正が行われ、1992年には「快適な職場環境の形成」が盛りこまれ、個人差への配慮、不快なものにも対策するなどの改正が行われました(具体的には健康診断の実施や労災認定など)。

ワークシェアリング
 失業率が高いヨーロッパで、雇用者数の増加のために考えられた方法です。「仕事の分かち合い」を意味しています。
 たとえば、これまで3人が8時間ずつやっていた仕事を、4人で6時間ずつやるように変えた場合、1人分の仕事が増え、他の3人には余暇の時間が増えることになります。
 ワークシェアリングは、労働問題を考える上で大きな鍵となっていますが、ワークシェアリングにともなう給料減の問題について労使間で話し合い解決しなければなりませんし、サービス残業の廃止や年休取得率を上げるなど労働条件の改善をすることとセットで考えなければなりません。